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​2020/6/20 公開 :行政書士佐藤祥崇

 

交通事故でよくある後遺障害:「むちうち」の後遺障害等級認定について

 

交通事故受傷でよくあるパターンとして、車対車の事故があります。こうした事故でよくある受傷箇所としては、頸椎があります。いわゆる“むち打ち”はよくある受傷パターンです。交通事故でむちうちとなっても、数か月後には軽快していくことがある一方、症状固定しても痺れや疼痛などの自覚症状が継続して残存する場合があります。こういった場合に、具体的に後遺障害等級認定の問題が生じます。この後遺障害等級認定がされないと、残存した障害について後遺障害として保険金が支払われないことになります。

 

 

そもそも“後遺障害”ってなんでしょうか。

後遺障害とは、それ以上治療しても症状が改善しない状態を「症状固定」といいますが、その状態になっても、なんらかの障害が残存している状況をいいます。

 

その後遺障害のうち、後遺障害等級認定の基準に該当しないと、その後遺障害に対しては保険金が支払われません。

つまり、交通事故外傷に対する適切な補償を受けるためには、後遺障害等級認定を受けるといった点がポイントとなってきます。

 

 

“むちうち”による自覚症状が頸部痛、上肢(腕や指先など)の痺れの場合の後遺障害

後遺障害等級認定実務上、「痛み」「痺れ」に関する自覚症状は原則的には、「神経障害」といった区分で評価されます。

 

この神経障害における後遺障害等級としては、14級9号「局部に神経症状を残すもの」、12級13号「局部に頑固な神経症状が残った場合」の2つに大別されます。

この両者の評価の違いは、ご自身の自覚症状が①「医学的に矛盾がない程度には説明ができるのか」、または、自覚症状が外傷性であることについて②「画像所見等と一致することから医学的に証明される場合か」によります。

 

①の場合が14級9号の等級認定基準に当てはまる場合です。

一方で②の場合は12級13号の等級認定基準に当てはまる場合です。

 

換言すると、他覚的所見から説明可能なのが14級で、これが証明可能な程度まで厳密に一致する場合が12級として認定されます。

後遺障害等級認定基準が異なることによる保険金額等の違いは別記事で説明いたします。

 

 

他覚的所見とは 

簡単にいうと「客観的に確認しうる医学的(異常)所見」をさします。医師が述べる見解を一般に“所見”といいますが、所見のなかにも客観的な所見と主観的な所見とがあります。

 

後遺障害等級認定は、しくみとして損害保険料率算出機構の各調査事務所が形式的に等級認定基準に当てはまるかについて審査しており、その関係から客観的な医学的所見によって示される残存した障害について、後遺障害等級認定されています。

 

したがって、医師の客観的所見=他覚的所見が後遺障害等級認定において重要となっています。

 

 

代表的な他覚的所見としての画像所見

客観的に証明される他覚的所見として代表的なものには画像所見があります。

 

画像所見とは、X線写真(レントゲン)やCT、MRIなどの検査画像から医学的に認められる画像上の異常所見を総称します。

 

たとえば、頸部外傷性ヘルニアの画像所見の事例としては下記写真があります。

このようなC6/7レベルのヘルニアと、自覚症状が現れている場所が医学的に一致すると12級13号の認定がされる可能性が高まります。

 

下記写真の事例では右優位の突出があることから、C6神経根の支配領域で、例えば、右手親指に痺れや知覚障害が生じている場合には、12級と認定される可能性があります。

他方で、右肩広範囲に放散痛があるといった自覚症状がある場合には、厳密な神経支配領域とは一致しないことから、14級9号と評価される可能性があります。

 

右優位の外傷性ヘルニアの事例

※出展 「外傷性頚部椎間板ヘルニアのMRI画像による検討」

田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵

外傷性ヘルニア画像.PNG

まとめ

このように交通事故外傷で、むち打ちが後遺障害となる場合に等級認定を受けるためには、医学的な他覚的との整合性が問題となってきます。

この記事をよんで、後遺障害等級認定における被害者請求や異議申立てについて、助言などが必要な方はお気軽にご相談いただければと思います。

© 2024 行政書士佐藤事務所

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